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海外の販促事例や聞きかじりの話題、社内アンケートの実施結果など、ちまたに溢れるニュースをご紹介しています。

エコバッグの持参を習慣化するキャンペーン (Unforgettable Bag)

2019
6/28
海外の販促事例

環境省は6月3日、プラスチックごみの削減を目指し、
プラスチック製レジ袋の無料配布を廃止する法令を新たに制定することを明かしました。
スーパーやコンビニなどのレジ袋を使用する事業者を対象に、
東京オリンピックに遅れないように来年頃までのスタートを目標としています。

こうした発表を受け、今回はレジ袋の大幅な削減につながった海外の事例をご紹介します。

 エコバッグの持参を習慣化するキャンペーン (Unforgettable Bag) 

毎分200万枚ものプラスチック製レジ袋が世界中で捨てられています。
マレーシアはプラスチックごみの排出量ワースト8位で、一人当たり年間約300枚、計90億枚ものレジ袋を破棄しています。

破棄された大量のレジ袋は海に流れ着き、海の生き物たちがエサと間違えて誤飲・誤食したり、
体に絡みついて外れなかったり等で多くの生き物たちが命を落としています。

こうした状況を食い止める為、マレーシアにある大手スーパーマーケットTESCOは
エコバッグの使用をすすめてレジ袋を削減する「Unforgettable Bag」というキャンペーンを2018年4月に実施しました。

エコバッグには絶滅の危機に瀕している3種類の海の生き物(サカナ・クジラ・カメ)と
バーコードを組み合わせたユニークなデザインが描かれています。

このデザインは絶滅の危機に瀕している海の生き物たちが身近にいること、
そしてその生き物たちを救うために私たちができることのひとつとしてエコバッグの使用があることを認識させ、
行動に移してもらいたいという願いが込められています。

エコバッグを使用すると、お会計時にレジ係員がエコバッグのバーコードをスキャンし、
購入金額から約5円(マレーシア通貨:20セン)が値引きされます。
1会計につき最大2袋分(約10円)まで値引きされます。
値引きによってお得感を提供し、再利用を促進しています。

このキャンペーンは昨年4月3日から11店舗で試行され、
その後6月1日からは全国規模で開催、12月31日まで実施されました。
エコバッグはリサイクル可能な素材で出来ており、価格は一つ約13円(50セン)です。
キャンペーン期間中はエコバッグが破れ等で使えなくなってしまった場合は無料で交換することがでます。
そして、使えなくなってしまったエコバッグは店舗でリサイクルされます。

マレーシアのTESCOは今までにもレジ袋の削減策が実施されてきました。
具体的には土曜日にレジ袋を使用しないように進める「ノー・プラスチック・サタデー」キャンペーンや
エコバッグを持参して買い物をした際にはポイントカード(グリーン・クラブカード)にポイントが加算され、
貯めると買い物券がもらえるキャンペーンなどがあります。
これらのキャンペーンを実施することで、2011年から2017年の7年間でレジ袋の使用量を半減することに成功しました。
そしてレジ袋の使用量をさらに半減することを目指して今回のキャンペーンが導入されました。

このキャンペーンを国内56店舗で実施した結果、
以前はエコバッグの持参率がわずか5%であったのに対し、68%にまで増加しました。
2018年の1年間で約500万枚ものレジ袋の削減につながる見込みとなっており、
世界各国にあるテスコの店舗でエコバッグの導入が検討されています。

(画像はhttps://www.kancilawards.com/winners/entry/2018/3225[英文]より)

最後になりますが、このキャンペーンは着実に成果を残し、
マレーシア最大の広告賞であるカンチル賞(Kancil Awards 2018)の複数部門において表彰を受けました。

環境にもお財布にも優しくメッセージ性のあるこのキャンペーンは、
様々なメディアで取り上げられ多くの消費者が認識し、
エコバッグの持参を習慣化できたのではないかと言えます。

来年には日本でレジ袋の無料配布が廃止予定です。
影響を受ける小売業でどんな販促やキャンペーンが展開されるのか、意識していきたいと思います。

2019/06/28 作成